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Diable Patron

第10章 初デート


「部長!」



「日向部長」




そんな部長呼びになり五日。




やっとその響きになれてきた。



まだ少し違和感はあるものの、なんと無く自分が昇格したということも自覚できてきた。




そしてガラスの壁がある個室で仕事をしている裕をみて私も頑張ろうと思い仕事をしている次第だ。



やっぱり仕事をしているときは家にいるときと違ってキラキラしてる。




あ、この人仕事が大好きなんだって。




それを見るのも気分がよかった。



「本部長実はかっこいいよね~。仕事もできるし。」



と休憩室でいっていた自分の部下には少し腹が立つが、誇りにも思った。




他にも



「日向部長、ここなんですけど」



とやけに距離が近い新山くんをガラスの壁越しに睨み付ける裕等も見るようになった。




早くなんとか言わないとな~。



そう思いながらも言うタイミングもないしでこんな感じになっている。



仕事がなかなか進まず、このままだと休日出勤は逃れない。



けれど週末は裕とデートの予定があるしで私の生活はかなり厳しいものになっていた。



そして今日は金曜。




今日、終わらせてしまわなければ休日出勤確定だ。



私は昼休みを削り仕事を続けた。



けれど終わる様子は全くない。



猫の手でも借りたいくらいだ。



どれだけ手を動かしてもそこが見えない作業に嫌気が差した頃だろうか。




神の手が舞い降りた。




「日向部長、手伝います。」




新山くんだ。




「え、でも。」



私は少しだけ躊躇う。




けれどそれを押し切るように




「何日か前残業手伝ってもらいましたから。お返しです。」



と言って書類に目を通し始めた。
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