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Diable Patron

第9章 何事も全力で


「え?いいの?」



私は驚く。


だってついさっき私たちは二人揃って昇進したばかりなのだ。



今から忙しくなる予測がたっているのに裕が自分からそんなことを言うなんて思っていなかった。



「今から忙しくならないの?」



私は恐る恐るそう聞いた。



「忙しくなるからこそ、だ。忙しくなってしまえば、出掛ける暇もしばらくはなくなる。これは、ご褒美の前払いのようなものだ。今週末くらいならまだ大丈夫だろう。」



裕はそう言うと先にご飯を食べ終え、お茶を一口飲んでいた。



ご褒美の前払い、か。



そう言われ、少し気分がよくなる。



「それじゃあ行く。」



私もあとを追うようにご飯を食べ終え、裕に返答した。



そして私たちは二人揃って店を出る。




そして私たちは揃って会社に戻り、同じフロアへと戻った。



戻ってくると一部社員は昼休みから上がってきているものの、まだがら空きだった。



私は部長デスクに、裕は本部長デスクへと戻る。




そのあと私の仕事はさくさくと進んだ。



だんだんと社員が戻ってきて私に仕事を置いていく。



けれどさっきとは違って仕事がサクサクと進んだ。




週末のデートが楽しみで仕事はみるみるうちに進んでいく。




そしてあっという間に定時になっていた。



私は仕事を纏めて帰ろうとする。



すると一人の男性社員が手詰まっていた。




「もう定時だけど、帰らないの?」



私はそう声をかける。



「これだけやってしまいたいので。部長はもう仕事終わりですよね?」



そう彼は言ったがその横にはかなりの量の仕事が詰まれていた。




[こういうとき、裕なら手伝うんだろうな。]


そう思うと私は咄嗟に手が動いた。



「あの、部長!」


そう声をかけられる。なので私はこう返した。



「前部長なら手伝うだろうから。私も見習わないとね。」
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