第1章 大嫌いな上司
次の日の朝。
私はいつも通り7時に目が覚める。
けれど起き上がる気力が湧かず、少しベッドでごろごろしていた。
すると何か生々しい感触が触れる。
「ん~、何、これ。」
私がそう声を発すると
「日向、人の足を蹴るな」
そこには部長の姿があった。
かけ布団の中を覗くと私は下着姿だった。
「あの、非常に聞きにくいんですけどなんで私こんな格好なんですかね?」
恐る恐る、私は部長にそう聞く。
「昨日、お前は相当酔っていた。家の鍵がどこにあるかもわからなくなるくらいにな。それでそのまま俺の家まで連れてた。その格好は服がシワになるから脱がせた。これでわかったか。」
そう普通に話す部長。
「セクハラに近いですね?」
私がそういうと「セクハラも何もない、人に迷惑かけておいて何をいう。服がシワになってもいいのか、今日も仕事なのに。心配するな、日向が思ってるようなやらしいことはない。」
冷静に部長は言った。
私は慌てて周りを見渡すと綺麗に畳まれた服が枕の横に置かれていた。
慌ててそれを部長がいる真横で着そうになる。
すると部長は「俺の前で着替えるつもりか?」という。
私は慌てて布団に戻ると部長はベッドから起き上がり、「俺は席を外すから着替えたら出てこい。」そういって部屋を出て行った。
私は慌てて着替えると服と一緒においてあった鞄から化粧ポーチを出し、昨日のメイクを落とした。
家を出る前にメイクしたからかほぼメイクは落ちていた。
そして上から軽く化粧しないよりましな程度の化粧を施して部屋を出た。
すると廊下にはパンの焼けたいい香が広がっていた。
リビングだと思われる扉を開けるとそこには「おはよう、軽食だが朝ごはんだ。よかったら食べろ」と言う、既にスーツ姿の部長がいた。
「ありがとう、ございます。」
私は動揺しながらもそういってトーストなどがおかれた机を目の前に椅子に腰掛ける。
案外、部長って優しいのかもしれない。