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Diable Patron

第8章 二人の昇進と二人の進歩


「俺と付き合ってることがバレればお前が気まずくならないかと思って隠そうって言ったんだ」



その言葉はシンプルにも思えたがその裏には重みを感じさせた。



「…自分の立場が危うくなるから隠そうとしてたんだと思ってた。」



私が素直にそういえば裕は



「だから、一人で旅行なんて行ったのか…?」



と私に聞く。



「…」



言葉には表したくなくて大人しく頷いた。




「…俺もそう素直に言えばよかったな。」



そう言って裕は俯く。



「最近、仕事休憩なしでやったりしたのも、あの勘違いから意地になってやっちゃってました…」



「…今度からは無理するな。不満なことがあれば言え。」




私が言ったことにも裕は優しい言葉をかけてくれて、自分はこんなにも大切にされていたのかと気づかされた。




「俺も…そのいろいろ焦ってた。何も進展に踏み出せてなかった。気にする要因になっていたら悪かった。」



やっぱり、思ったことは言葉にしないと通じない。



好きなら好きって。



やりたいことがあるならやりたいって。



こうしてほしいならこうしてほしいって。



言葉は時に人を傷つけることもあるけど、言葉を言わないと何も伝わらないし、言わなきゃ時に空回りだってしてしまう。



私たちはもっとお互いにぶつかり合わなきゃいけないんだと感じた。



そして私は決断する。



「あの、部長になる話、受けようと思う。」



覚悟ができたといえば嘘になるかもしれない。



けれど、やってみたいと思った。



数日、仕事を詰めに詰め込んだがやり遂げたあと、謎の達成感があった。



またやってみたいと思った。



だから、私はプライベートも仕事も全力でやってみることにする。
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