第5章 一晩の過ち。
「…それ、俺が言いたかったんだけどな。こちらこそ、よろしく日向。」
こうして私たちは交際を始めた。
だが、そのあとも私たちのなかではまだモヤモヤしていることがあった。
「あの、部長」
「なぁ、日向。」
「「呼び方変えないか」ませんか?」
そう、呼び名だ。
私はいまだに裕さんと呼ぶことに抵抗があった。
「やっぱり、さっき付き合い始めたと言えど部長ってよんでるのはおかしいんでしょうか…」
「…俺は交際経験がないからわからない。」
ん?今部長から耳を疑う発言があった。
「え?交際経験なかったんですか?」
私は思わずそうきく。
「あぁ。悪いか?学生時代は勉強しかしていなかったし、今は仕事三昧だろう?今までそんなこともなければ人を好きになったこともない。」
ん?また耳を疑う発言が…
好きになったこともない?
え?初恋?
だから、あんなにアプローチのしかたがおかしかったの?
不器用なわけじゃなかった?
「っというか、私部長の年齢もしらないです。」
「あ、そうか。俺は日向の1つ年下だ。」
ん?またまたこの人衝撃的な発言した?
「え?年下?私の年齢間違えてませんか?」
「間違えてない。お前が移動してきたとき書類には目を通したそれに、これだけしてて年齢知らないとでも思うか?」
うわー、チャレンジャーだな、この人。
私には容赦なく、そんな現実が突き刺さる。
「年下って嫌か?」
「全然…そんなことはないんですけど…自分の不甲斐なさを痛感してるだけです。」
私はポツリとそう呟いた。
「不甲斐ない、な。あれだけ俺の残業に付き合ってよく言う。良くできてると思うが。」
そう部長は私に声をかけた。
これから私はいろんなことに驚かされることだろう。