第5章 一晩の過ち。
私がリビングへ入ると部長はコーヒーを淹れてくれた。
そのあと向かい合って座ると部長は私に問う。
「昨日のことは覚えているのか?」
覚えてなさそうに見えるほど酔っていたのだろうか。
「覚えてないです。けど、何があったのかはなんとなく予測はついてます。」
私は戸惑いながらもそう答えた。
「そうか…」
部長は気まずそうにうつむき、黙りこむ。
「私は…昨日の出来事を細かいところまで覚えてませんけど、悪い気はしてないです。」
私は部長にそういった。
認めたくはないが事実なのだ。仕方がない。
「そこで、聞きたいことがあるんです。部長は私のこと少しでも好きでいてくれてるんですか?」
「…今までのことで気付かなかったのか?」
「え?」
私が聞いた内容にたいして変な返答をされ戸惑う。
「どういう…ことですか?」
私は部長に恐る恐る聞いた。
すると部長は私を見て
「今までお前に残業させてたのも、外回りにつれてってたのも、ドライブに誘ったりしたのも、飯連れてったりしたのも。全部お前が好きでやったことだ。」
といった。
「え?」
また私から間抜けな声が出る。
「日向と一緒にいたくてやった。軽蔑するだろ。…部署移動したいようならこっちで手続きはする。顔も合わせたくないようなら努力はする。」
部長は気まずそうに私に言った。
けど、今更[嫌い]になんてなれない。
「何言ってるんですか。私は軽蔑もしてませんし、部署移動も希望しません!」
私は力強く、部長に言った。
「今更です。散々そんなことしておいて…私に好意を持ってそうしたんですよね?それなら無責任すぎますし、その態度に軽蔑します。」
私がそういうと部長の顔色が一気に変わった。
「けど、日向。本当にいいのか、俺で。」
私にそう聞く部長を見て私は
「部長がいいんです。っというか部長じゃなきゃ嫌です。だから、私と結婚を前提に付き合ってください。」
といった。