第4章 私の好きだった人
部長に振り回され数ヵ月。
体調を崩した私。
あの日、部長が作ってくれたうどんはとっても美味しくて、リクエストしてもいない野菜までたくさん入ってて。
その食事を食べたとき、すごく美味しかった。
そしてその優しさに浸り、ご飯を食べ終わって寝ようとしたとき突然とある来客があった。
てっきり、なにか忘れた部長が戻ってきたんだって思った。
扉を開けると衝撃的な人が立っていた。
「久しぶり、ゆか」
そこには数ヵ月前、私がフラれた元カレ
[幸弥]がいた。
別れる直前、まだ今の部署に移る少し前の話。
私と幸弥は同棲を考えていた。
結果的に私たちは一緒に住む部屋を決めて、私が先に引っ越した。
彼の仕事のお休みがなかなかとれなくてそれまでは半同棲しようと言う話で落ち着いた。
けれど彼はどれだけ毎日仕事でも必ずうちによったり、ご飯食べに行ってくれたりしてくれてた。
そして部署移動があった。
そのあと、私は彼のように時間を作ってあげられなかった。
残業して、時たま残業を断ればよかった話なのに。
私はそれを断るどころか、[断ったらやわな新人だと思われる]そう思って彼より自分の肩書きを優先した。
そしてある日、家に帰ってくると彼とご飯を食べる約束をしていたはずなのに彼はいなくて。
[ごめん。俺にはもう無理だと思う。本当ごめん。別れてください。]
そう書いたメモとうちの合鍵があった。
本当はこの部屋は二人で住むための部屋だったはずなのに。
今では一人で住んでいる。
引っ越したい。
そう思う反面、
まだ思い出に浸ってたい。
そう思う。
そして
[ここにいればなにかやり直せる気がする]
そう思っている自分もいた。