第15章 兄姉夫婦の知らなかった隠し事。
壮Side
「兄さん、俺は血は繋がってなくても心のそこから兄さんが俺のゆういつの今日だと思ってる。兄さんは俺のこと、どう思ってる?」
そう言われたとき、言葉を失った。
だって、裕が自分のことをそう思ってくれてるなんて思ってなかったから。
自分のことをゆういつの兄弟だっていってくれたのが、思ってくれていたのがすごく、すごく、嬉しかった。
でもその事について僕がなにも発さなかったからだろうか。
「………兄さんは?どう思ってる?」
と聞いてきた。
だから力強く、答えた。
「僕も、裕のこと、ちゃんと兄弟だって思ってるよ。僕には兄弟は一人しかいないからね。」
そう言ったとき、視界が涙で歪んだ。
それは丸で夏の蜃気楼のようで。
裕の姿がゆらゆらと揺れているように見えた。
そしてその涙は自分の頬を伝い、膝の上にあったら手へと落ちる。
そのとき、自分が大泣きしていたことに気づいた。
「…兄さん、泣くなよ。」
そう言う裕も泣いてた。
「裕も泣いてるだろ?」
そう笑いかける。
すると彼は
「泣いてない。」
といいはってた。
見た目は何兄弟揃って泣いてるんだって感じだとは思うけど、僕たちにはこの時間が重要に感じた。
その日は二人で何時まで飲み明かしただろう。
小さいときの話とか、そんな話を色々してた。
その時間は僕たちにとって大切な思い出になった。