第13章 説得と決意
「なんであんなこといったの!」
私は母が帰ってから裕に問いかけた。
「…由架、話しておかなきゃいけないことがひとつある。聞いてくれるか?」
私はその問いかけにコクりと頷いた。
すると彼は立ち上がり、冷蔵庫にあったスパークリングワインとグラスを二つ持って二人がけのソファへと座った。
すると自分の隣をポンポンと叩き招くので、私は彼のとなりに腰かけた。
私が隣に腰かけると彼はスパークリングワインを開け、グラスにそれを注ぎながら話始めた。
「この話は親戚の中でも一部しか知らない話なんだが、…俺は養子なんだ。」
「え?」
私は突然の発言に驚く。
[あんなにお兄さんとも仲がいいのに彼が養子?]
驚きを隠せずにいた。
「俺が今の家族に引き取られたのは一歳の時だ。俺があの家の養子だって両親から聞かされたのは小学校に入学したときのことだったよ。あの時の衝撃は今でも覚えてる。」
私はあまりのショックに言葉を失っていた。
でも、彼は寂しそうな顔はあまりしない。
「でも、中学卒業の時、両親が俺が何故[氷山]という家に養子にとられたのかって理由を聞かされたんだ。両親は、兄に兄弟を作ってあげたかった。それでどうせなら身寄りのない子供を養子に取ろうと父さんが言いはじめて、俺があの家に引き取られた。その話を聞いた時に父さんに言われたんだ。[血が繋がってなくても家族は家族だ。もし、お前が戸籍から何らかの理由で抜けたいと言う時が来るかも知れない。けどそれでも僕たち家族はお前がどれだけ僕たちのことを嫌っても家族だと思ってる。]って。」
その話を聞いたとき、私は心のどこかでさっきの発言に納得してしまった。
私はなんでそんなに家族にひどいことをできるんだろうって思ってたけど、あれは彼らが自分達家族を心のそこから大切にしているからこそ、気にならないことだったんだと。