第13章 説得と決意
父に指定された場所へと私は足を運んだ。
そこはファミレス。
昔は家族全員で行ったものだが、最近は来ることもなくなった。
店内に入ると父の姿が見えて私はそちらの方へと足を運んだ。
「お父さん、久しぶり」
私が声をかけると
「あぁ、久しぶり。」
といって優しい笑みを見せた。
私はドリンクバーと軽食にとポテトを頼む。
やがて、ポテトが運ばれてきて、私はそれを一口食べてから父に聞いた。
「ところで今日はどうしたの?」
そういったとき、いつも笑顔な父の表情が少しだけ歪んだ気がした。
「本当はな、お前の口から聞けるのを待とうかと思ってたんだけどな、やっぱり早く決着つけた方がいいかと思ってな。…壮くんの弟さんと付き合ってるってのは本当か?」
突然そういわれ驚く。
なぜ父がその情報を知っているのだろうか?
ただ、ただ、不思議だった。
「なんでその事…」
「この間な、莉架から連絡があってな。悪いとは思ったんだがな。」
そっか。
だからか。
姉なら確かに今の状況を知ってるし言えたはずだ。
そして姉がなぜそれを父にいったのかも何となく察した。
私たちももう子供じゃない。
お遊びで付き合っているわけでもなければ、互いの未来のことをしっかり考えて、結婚も踏まえて私達は付き合っている。
結婚となれば家族にも関わる。
それを隠そうとしていた考えがよくなかったのかもしれない。
「あのね、お父さん。私は彼と真剣に付き合ってる。だから、その、反対しないでほしいなって思ってるから見守ってほしいの。」
私は状況に戸惑いながらもなんとかそれを言葉にして父に話した。
すると
「…反対する気は最初からないよ。ただ、お前の口からそれを聞きたかっただけだ。母さんのことも説得しておくから。よかったな、いい人が見つかって。」
と父は言い、その表情にはまたいつもの笑顔が戻った。