第13章 説得と決意
「ただいま~。」
私がそう言って家に帰り、リビングに足を踏み入れると見覚えのない中年の男女が裕と向かい合わせになり、ダイニングの机を前に座っていた。
「おかえり、由架。」
そう言って裕は自分の隣へと私を導くように手招きをする。
私はその手招きをする方向へと歩き、隣に立つと肩をそっと抱かれ、
「俺にはこの人がいる。だからお見合いはしない。」
と言った。
私がなにも状況を飲み込めず、あたふたとしていると
「父さんと母さん。」
と言われ、ハッとした。
そういえば写真で見たことあるなと。
私と裕は家族の顔合わせに予定が合わず行っていなかった。
個別に開いてもらった顔合わせには互いにいったものの、互いの両親にはあっていない。
けれど写真では見せられてて、どこか見覚えがあったのだ。
「あの、ご挨拶遅れてすみません!」
私は必死に頭を下げる。
すると
「あら、気にしなくていいのよ。頭をあげて。よかったら座って。」
と裕のお母さんに言われ私は裕の隣に腰を下ろした。
「名前は何て言うんだい?」
そう、裕のお父さんに言われて、
「日向 由架って言います!」
と言うと二人は不思議そうな顔をした。
「あら?莉架ちゃんと苗字が一緒なのね。」
そういわれ、私は戸惑う。
[そうだ、私の両親も含め自分達の両親はまだ私たちのことは知らないんだ。]
再び私は慌て始める。
すると隣で
「由架は莉架さんの妹だよ。けど、はじめてあったのは職場。」
と説明をしてくれた。