第12章 上司と部下の張り合い
「もうそろそろ一旦みんな帰らないか~。疲れもたまってるだろうしなー。」
そう誰かがフロア全員に聞こえるように声をかける。
けれど、私にはその声さえ誰か判別できずにいた。
これも疲れのせいだろう。
すると回りの人たちはぞろぞろと帰り始める。
そして疲れがピークに達していた私も机の上の片付けを始めた。
そして片付けている間にフロアにいるのは私と、まだ仕事を続けていた裕だった。
「まだ、帰らないんですか?」
私はそう声をかける。
社内だから少しだけ気を使った。
誰かにばれたら厄介だと思ったから。
「あぁ、もう少ししたら帰るつもりだ。日向は帰るのか?」
私にそう聞くので
「はい。今日はさすがに帰ろうかと。疲れてきましたし…」
と返す。
「そうか、お疲れ様。今日はゆっくり休め。」
「はい、部長もお疲れ様でした。」
私はそう挨拶を交わし、会社を出た。