第2章 querelle
querelle.3
喧嘩をした日の痛みを忘れられなかった。
ただの小さな怪我だったらいちいち覚えていない。
けれど、あのとき感じた痛みは、もっと深く、心の深くに残っていた。
もしかしたら私は、私の意思で忘れたくなかったのかもしれない。
そうしてそれが私の罪として、私が朽ちゆくまで一生ついてくることを、私は願っていたのだ。
なのに。どうして。
死に際になって、後悔の波が押し寄せてくる。
この私の死によって贖えるのだろうか?
あのときのすれ違いざまの謝罪は、彼に届いたのだろうか?
ただ、謝りたい
(彼が許してくれなくても)