第10章 STAND 10
智「雅くん、もうこの旅は中止した方がいいかもね?」
雅「うん…そ、だね。これじゃあ、ね…」
俺と翔くんが転げ落ちた先には、でかめの水溜まりができていた。
運が悪いことに草で見えてなかったもんだから、2人ともそこに落ちてしまった。
お陰で俺らは、全身どろどろになってしまった。
和「……翔、大丈夫?」
二宮が必死に翔くんの服に着いた泥汚れを叩いて落とそうとしている。
翔「うん。大丈夫…」
「おい二宮!俺のことも心配しろよ!お前のせいで落ちたんだからな!」
二宮の肩を掴んで振り向かせようとするも、身体を捩って避けられた。
それから俺をギロリと睨んできた。
和「なんでおれのせい?むしろ、あんたのせいで翔がこんな目に遭ったんですけど?」
むむっ。それはそうだけど…。
翔「二宮くん、もう大丈夫だよ。服は洗えばいいんだから」
翔くん心が広いなあ。
おっと、それよりも翔くんに謝らなきゃ。
「翔くん、俺のせいでごめんなさい!」
帽子を取って膝に手をついて頭を下げた。
翔「あ、ちょ、大丈夫だから謝らないで、ね?松本くんは悪くないよ。俺がボーッとしてたから…。俺の方こそごめんなさい!思いっきり下敷きにしちゃって…」
顔をあげるとそこには、申し訳なさそうな翔くんが居て。
俺の方がぶつかったってのに…。
翔くん。君はなんて優しい人なんだ!
俺の目に狂いはなかったな、うんうん。