第8章 STAND 8
雨の音で目が覚めた。
周りを見渡すとみんなまだ寝ている。
どれくらい寝てたんだ?
スマホを取りだし時間を見る。
30分か…、意外と寝てたな。
俺は枕が変わると寝れないタイプだから、こんなところで寝れたなんて…。
余程疲れてたんだな?
喉を潤そうとリュックから水を取り出した。
翔「んっ…」
俺の肩に凭れて寝ている翔くんが、膝の上にズルッと滑り落ちてきた。
俺が動いちゃったからだ。
ごめんね、翔くん。
身体を元に戻そうと肩を掴んだ。
でも、今動かしたら起きちゃうかな?
もうちょっと寝かせてあげたくなった俺は、肩から手を離し、きちんと座り直した。
雨音が強くなる。
駅舎の至るところがガタガタとなりだした。
おいおい。
壊れたりしないだろうな?
翔「ぅん…」
窓の外をボーッと眺めていたら、翔くんがモゾモゾと動いた。
起きるのかな?
そう思って見ていたけど、直ぐに寝息が聞こえてきた。
ほんとにきれいな顔だな。
同じ男って信じられん。
うわ~、睫毛ながっ!
唇プルプルですやん!
どんな感じなんすか?どんな感じなんすか~?
さ、触りてえ~。
周囲をぐるりと見渡した。
さとちゃん、よし!
雅紀、よし!
二宮、よし!
翔くん、よし!
よし!みんな寝てる!
ちょ、ちょっとだけだからね~、痛くないですからね~。
翔くんの唇を人差し指でちょんと触った。
うおっ!やらけえ~!
~って、俺何やってんだ…。