第6章 STAND 6
今、駅舎に着いてから、みんなで日陰を堪能している。
備え付けの椅子に直接座りたくなかった俺(だーって、泥と埃まみれなんだもんよ。どこがきれいなんだよ、雅紀ー!)は、なにかに使えるんじゃねえかと持ってきていた新聞を広げて座った。
みんなも同じようにして座った。
翔「はい、これ飲んで」
〇〇「ありがとう」
翔くんがペットボトルの水をそいつに渡した。
〇〇「でも、いいの?君の分が無くなっちゃうんじゃ?」
翔「あ、大丈夫だよ。多めに持ってきてるから。遠慮しないで飲んで」
〇〇「そうなんだ。準備がいいね」
そいつは、水を2口飲んで、翔くんの右手を取った。
〇〇「きっと、いいお嫁さんになるよ」
そう言って、指先にちゅっとキスをした。
はあああああっ?
なんだそれ!
なんだそれ!
なんだそれ!
翔「え?どゆこと?」
〇〇「ふふ。そのまんまの意味だよ?」
翔「そのまんま?って、俺、男だから、婿になるんじゃ…?」
〇〇「くふふ。あいつと一緒で、こういうのは疎いんだ」
雅「あいつって誰~?」
雅紀がそいつの手からヒョイッとペットボトルを奪い取って、ゴクゴクとすごい勢いで水を飲んでいく。
うっわ、バキューム並。
ほとんど飲んだペットボトルをそいつに「ほいっ。サンキュ」と返した。
〇〇「………もうほとんどねえじゃん」
そう言いながらも、そいつは残りの水を飲み干した。