第5章 STAND 5
「………」
俺の前を歩く2人をじとっと見つめる。
漸く泣き止んだそいつは、ずっと翔くんにくっついて離れなかった。
仕方ないから一緒に連れて行くことになった。
何で、どこのどいつかわからん奴と行かなきゃなんねえの?
それに、ずっと翔くんにくっついてさ?
離れろよ!
嗚呼!もう!イライラする!
智「んふふ。潤くん、顔が般若さんになってるよ~」
俺の半歩後ろを歩いてきていたさとちゃんが、腕を絡めてきて小声で言ってきた。
「……なってねえし」
智「んふふ。そうだね~」
いつもはこの緩さがありがたいんだけど。
今回は、ちょっと裏目にでた。
だってさ、目の前の2人も今の俺たちみたいに腕を絡めて歩いてるから。
俺の苛立ちを増すような行動をとったさとちゃんに、いけないこととわかっているけどさ。
八つ当りしてしまいそうだよ…。
はぁ…。
雅「みんな、疲れてない?」
先頭を歩く雅紀が、振り返って俺たちに確認してきた。
「まだ大丈夫だ」
翔「俺も」
智「うん。まだ行けるよ~」
雅「それじゃあ、まだ休憩入れなくていいね?」
雅紀が再び歩き始めようとしたとき、
〇〇「おれ、疲れた」
ボソッと吐き捨てるように、そいつは呟いた。