第1章 STAND 1
雅「ねえねえ。夏休みにあの映画みたいなさ、冒険をしてみない?」
はぁ…。
また始まった…。
雅紀はいつも突然変なことを言い出す。
そして、必ず俺を巻き込む。
マジで勘弁してほしいよ…。
3週間後に迫った夏休み。
俺は、夏期講習を受けるつもりでいた。
なのに、いとこの雅紀はいつもこの調子で。
俺の隣で雅紀の話を聞いている翔くんをチラ見した。
ニコニコして、雅紀の話に頷いている。
あ、まただ。
翔くんは、雅紀に…
「何でそんなに甘いかなあ?」
翔「え?甘い?」
翔くんが俺をじっと見つめてきた。
しっかりと目が合う。
ヤバッ。
口に出してるつもりはなかった。
俺は昔から、たま~に、思ってることをブツブツと言ってることがあるらしい。
気を付けてはいるんだけど…。
「え?んっと、な、なんでも、ねえっすよ?」
雅「んふふぅ。潤ちゃんってば。ま~た敬語になってるよ♪ウソついてるでしょぉ~?」
「そっ…んな、こと、ね、ねえっす!」
雅紀曰く。
俺は昔から、ウソつくときは、敬語になるらしい。
これも気を付けてはいるんだけどね…。
翔「あっ、また敬語だ(笑)」