第16章 捕虜
ヒュースが部屋を出ると、さっきまでポカーンとしてたメンバーが復活し、今度は悠一が僕の肩を掴んだ。
迅「明希!いつからヒュースとあんなに仲良くなったの!?ってか、今名前で呼ばれてなかった!?」
木「迅、落ち着け」
レイジさんが無理矢理引っペがしてくれたが、手と足がバタバタしている。レイジさんの言う通り、取り敢えず悠一は落ち着こう。
小「迅はほっといて、私達に詳しく聞かせて頂戴」
僕「詳しくって言っても…ほら、さっきの模擬戦で僕が全勝したでしょ?ヒュース曰く、『自分よりも優れていて、精神的にも強い奴には敬意を示す』らしいよ」
烏「そう言えば、アフトクラトルにとんでもなく強い小さな子供がいて、国民から敬われているらしいですよ」
小「え?そうなの?その子凄いわね!」
烏「すみません、嘘です」
小「.....は!?また騙したの!?」
桐絵は何でも信じ過ぎて、詐欺に会わないか心配だ。
僕「えっと、話を戻すよ?最後の模擬戦で突然ヒュースの周りが爆発したでしょ?ヒュースはそれが気になって聞いてきただけだよ。因みに、会話に出て来た『アレ』はテレポーターの事だよ」
迅「本当にそれだけ?」
僕「それだけ」
迅「...わかった」
大人しくなった悠一が解放されてソファに座り込んだ。みんなもそれぞれ喋ったり、ご飯の準備したり、それを手伝ったりしていた。
出来上がったご飯はとても美味しく、普段は少食な僕と修君もいつもより沢山食べた。ヒュースも「美味しかった」と素直に言っていた。
その後、11時まで起きて喋り倒していたみんなも、眠気に勝てなくなって何人か寝てしまった。そのままでは風邪を引くので、各自の部屋まで運んで布団に入れた。
僕は悠一に言われて、悠一の部屋で寝る事になった。何でも、話がしたいそうだ。
悠一の部屋にて。
僕「...また何か見えたの?」
迅「うん。...今回見えたのは、どこかの国がボーダー基地を攻めに来る未来だった。まだ詳しくはわからないけど、明希には言っといた方がいいと思って言ったんだ」
僕「そっか。この事は城戸さんたち知ってるの?」
迅「まだ言ってない。明日言いに行こうと思ってるんだけど、その時に明希にもいて欲しい。いいか?」
僕「それが最善なら付き添うよ」
そう言うと、悠一がフッと微笑む。
そして、どちらからとも無くお互いを抱き寄せ、そのまま眠りについた。
