第1章 君が一番【ジャッカル桑原】
「ジャッカールッ!!」
ドンっと鈍い音が辺りに響く。
腰を抑えつつ自分の体から私をベリベリと剥がすこいつ。ジャッカル桑原。私の好きな人である。
『王者立海』その名の通り、全国大会常連、バケモノばかりが所属する立海大学附属中学の男子テニス部に所属している彼は、いつも貧乏くじを引いている。
彼は、ダブルスプレイヤーでありそのパートナーは、天才と自他共に認める丸いぶた、もとい、丸井ブン太。私はこいつが憎い。
なぜかって??
立海の男子テニス部は、テニスの実力だけでなく、容姿端麗なこともきっと入部条件に入っているのだと私は信じている。
レギュラー陣に死角なし。
部長の幸村を始め、どいつもこいつも顔が整いすぎだ。副部長である真田は、年相応の容姿ではないが、整っていることは事実。そして、ジャッカルのダブルスパートナー丸井ブン太は、テニスが上手いことはもちろん、顔が整っていることに加え、派手な髪色、目立ちたがり屋、そして無類の甘党。
つまり。顔が整ってて見た目派手で目立つの好きで甘いもの好き←可愛い!
って女の子はなるのである。
調理実習があった日には、そいつに渡す人続出だ。それを全て食べきることもすごいと思うが、そこが問題ではない。つまり、バレンタインでもラブレターでもなんでもそう。女の子に『渡しといてっ!』と言われるのはジャッカルなのだ。