第6章 陽だまりの差す場所
She
窓際の一番奥のテーブル。
窓から優しい日光が差し込む陽だまり。
図書館の中でも一番奥だから、私以外に使っている人が
居ないのでは?と思うこの席が私のお気に入りの場所だ。
今日は、新しい本が貸し出される日なのだ。
前々から希望していた本がやっと今日借りられる。
考査期間なのをいい事に今日は長居する気でいた。
区切りのいいところで、ふと視線をあげる。
1時間は経っていただろうか。
続きはとても気になるが、
すべて読み終えるには少し長すぎるということで、
身の回りの整頓を始める。
そこで初めて気付いた机の落書きに目を落とす。
『何か面白い推理ものの小説ありませんか』
昨日来た時はなかったその文字に、
ここを使っている人がいるんだと、すこし驚く。
少しだけ迷って、
「もしかしたら、この人もそれを知りたくて書いたのかもしれない」
自己解釈の中で最も安直な答えを出して最近読んだ小説のタイトルを書く。
この図書館にもあるものだし、あまり有名じゃないけど、見つけられるだろう。
消されてしまったらしょうがない、と思い図書館を出た。
消されないように、と少しだけ願って。