第4章 カーテンコールのその先は
どこにいるのかわからない。
必死に校舎を探し回っていると、窓の外に研磨の姿を見つけた。
そのあとにクロの姿も。
私も彼らの後を追う。
研磨が向かった場所は学校の近くに流れている川。
少し離れた場所にクロが研磨の様子を見ていた。
研磨は紙袋の中から小さな箱を取り出す。
しばらくそれを見つめる彼は、苦しそうに顔をゆがめる。
綺麗な曲を奏でていたその箱は
綺麗な孤を描きながら空を舞い
捨てられて川の底へ消えた。
「研磨……」
何も言えなかった。
どうすることもできなかった。
こういう時、どう声をかければいいの。
どうしてこんな風になってしまったの。
私はただ、ずっと幼馴染のままでいられたらよかったのに。
「研磨のことは俺が何とかするから、お前はもう学校に戻ってろ」
「クロ……私はどうすればよかった?研磨の気持ちに応えてやればよかった?知らないフリしないでちゃんとすればよかった?」
「……わからねえ。でもどっちにしろ傷つけない方法なんてなかったと思うぜ、俺は」
溢れる涙を抑えきれない。
震える研磨の背中はとても小さく、私の心を苦しめる。
オルゴールが奏でていた恋の歌は
とても綺麗で優しく柔らかかった。
【完】