第2章 My cream puff prince
教室の窓から見えるグラウンドからは、
キラキラと光が溢れている。
歓声が、三階のこの教室まで聞こえてくる。
「文化祭、成功してよかったですね」
花「そうだな」
成功したことは凄く嬉しい。
少し大変だったけど、この人の隣だったから頑張れた。
楽しめたのもこの人のお陰なのかな。
もう、終われば今までみたいに会えることなんてないのだろう。
放課後を一緒に過ごすこともないだろう。
そう思うと、今日までを何度も何度も繰り返したい。
今日を過ごしたくなかった。
今日が終われば明日が来てもう終わり。
「全部、終わりなんだ」
心の中で呟いた言葉が溢れてしまった。
とっさに口を噤んで、また開く。
「やってみたらあっという間でしたね。
意外と楽しくて、良かったと思いました。
あの時指名してくれて、ありがとうございました」
なんだか怖くて、反応を横目で伺う。
彼の表情は見えない。
「花巻さ 「あのさ」 」
花「付き合ってくれ」
花「順番逆になっちまったけど。
このまま終わるのは嫌だ。
文化祭終わっても、俺の傍にいて欲しい」
真っ直ぐな瞳で
いつもの弧を描いた表情じゃない、真剣な顔。
花巻さんも、同じ事思ってくれてたんだ。
そう思うと、嬉しくて、嬉しいのに涙が出てきた。
花「…?」
少し困ったような声。
「花巻さん。
好きです、大好きです。
私も同じ事考えてて…。
私も貴方の隣にいたい」
ギュッと抱きしめられて、
頭をポンポンと撫でられた。
小さく息を吐いて一拍置いてから
花「……よかった。
ありがとな、」
「私こそ。
ありがとうございます、花巻さん」
笑いあってキスをした。
思い出にって写真を撮って、私達は日常へ。
全てが始まるまでより
少しだけ甘い日々に。