第1章 furachi なふたり/幸村
「紳士」
「おや、これははこさん。ごきげんよう」
「紳士とよばれて堂々と振り向くところがさすがぜよ柳生」
「幸村くんとは順調ですか? ぶしつけですが、友人の幸せは応援したいですからね。とてもよい恋人でしょう」
「うん。いつも真田くんの話ばかりしてるけれど、三人で仲良しなのよ」
「は…?」
「え……」
「ゆ、幸村くんはきっと穏やかで女性に優しくする紳士的な彼氏でしょうね。花や美術がすきで…」
「もちろんよ。ところで真田くんは? A組にいるとおもったんだけど」
「おい柳生…!」
「(ええ、仁王くん…これは…)」
「(幸村の話なのに真田のことばかり話そうとしとるぜよこの女)」
「(まさか、うちの主将は踏み台…?! そんなことが)」
「柳生くんって真田くんとおなじA組でしょ?」
「そ、そうですが、彼ならさっき柳くんによばれて行きましたよ」
「そっかあ」
「……どうかしたんか」
「動物性たんぱく質と青学の手塚くんのほかに、真田くんがすきなものって、なんだろうとおもって」
「それ本人に聞くつもりだったんですか?!」
「プロテインと手塚のことしかかんがえてないやつみたいじゃのう…!」
「だいたい合ってるでしょ?」
「……鍛練とライバルのことばかりかんがえてるってとこは合ってるかものう」
「精市がいってたんだもの」
「ゆ、幸村くんの副部長への認識が雑…!」
「で、そのほかに真田のすきそうなものは? 柳生おなじA組風紀委員じゃろ」
「そうですね…真田くんは和風のものならなんでもすきかとおもうのですが」
「おまんも十分雑じゃのう…びっくりした…」