第1章 furachi なふたり/幸村
「精市、それなあに」
「これは真田から授かった書だよ!かわいいだろ」
「“無病息災”…か、かわいい!」
「とくにうまくないけど純粋な気持の字なのがわかるから…気に入っているんだ」
「真田くんったらピュア」
「あいつにお返しがしたいんだけど」
「なにしてあげるの?」
「そうだな…焼き肉に連れていきたいな。うちに招いて母さんにステーキ焼いてもらうのもいいかな~」
「とにかく肉なのね」
「動物性たんぱく質にこだわりのあるやつだからね」
「さらに筋肉つけたいのかしら」
「あれ以上に筋肉を…」
「すてきね」
「すてきだね。ますます男のファンが増えてしまう」
「真田くんろくな女の子のファンいないもんね」
「みんなコアだね」
「彼自身は大和撫子がタイプなんだろうけど、ぜったいひとりもいないわね」
「かわいそうに」
「でもそんな真田くんがすき」
「俺もだよ」
「……聞きたくない会話が聞こえてきてしまった」
「あっ真田」
「真田くんちっす!」
「仲睦まじくしているとおもえば…なんでふたりきりなのに俺の話をしているのだ!」
「そういえば、わたしたちだいたいいつも真田くんの話しているわ」
「そうだね」
「おまえたちもうすこし恋人らしいことをしてもいいんじゃないのか?!」
「真田にドン引きされてしまったよ…悲しいな」
「わたしたち真田くんのことすきなだけなのに…」
「べつにきらいになったわけじゃない!心配しているんだ!」
「さ、真田に恋愛のことで心配されてる…!」
「なんてこと…!世もすえね!」
「そこまでいわれなければならないのか…?!」