第7章 # ∞
“さとしさん
よえばようほどうれしくて
なきなくなったら
らぶらぶこーる”
なきなくなったら、って何だよ。
「バーカ」
ずっと心残りだった、弟のカズの事。
会えて良かったな、って
許してくれて良かったな、って
慎吾が涙声でそう言ってくれた事が嬉しかった
寂しくなんかないよ
また会えるし、それに
「俺には慎吾がいるだろ、」
本人の前じゃ決して言葉に出来ないであろう最大の告白を呟いて目を閉じた
明日からまた、いつもと同じ毎日が始まる
一人じゃないから
お前が側にいるから
俺はきっと、まだまだ頑張れる ―――
「おはよ! ぷ。どうしたんだよその頭!」
いつもと同じ朝。
いつもと同じ、焼きたてのパンの香りとダブルの目玉焼きにソーセージ
だけど少しだけ違うのは。
「似合うだろ?」
朝起きて髪を慎吾と同じポンパドールにしてみた事。
「似合ってるよ。チョー可愛い!」
「っ…///」
「そのピン留めまだ持ってたんだ?」
「たまたまだっ…!」
分かり易い言い訳に慎吾がクスクスと笑う
「智のそーゆーとこ、好きだよ」
「!?」
「よし、出来た。 食おうぜ!」
やっぱりいつもと同じじゃない
耳の縁まで真っ赤になった慎吾と
たぶん真っ赤な顔してる、俺。
もしかして、知らず知らずのうちにあの二人に感化されたのかも知れない
自然に
そう、ごく自然に
目の前に座る慎吾の頬に ―――
そっと、手を伸ばした。
『# 3104』 〜 完 〜