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# 3104【気象系】

第2章 # 00008B


なぁ、知ってるか?
あの青の色は、慎吾から貰ったピン留めと同じ色なんだよ
すべての始まりはそこからだったんだ

良くも悪くもあの色が僕の世界を変えた
空を描くには深すぎて、大人達には怪訝な顔をされたけど


“空の青と海の青は同じ青の色なんだよ”


そんな御託を並べて、僕は
誰に何を言われてもこの思い出のブルーだけは譲らなかったんだ








「イイでしょ、このデザイン最近人気なんですよ」


店に入るなり聞こえてきた、達也さんの弾んだ声
接客中かな?と、奥を覗き込んだ


「めっちゃ可愛い〜!」

「星座だぁ」


潮焼けした若い二人組の女性がキャッキャとはしゃいでる
その手が触れているのは、紛れもなく僕達が作ったサーフボードだった


「達兄」

「おぉ。慎吾、智!」


慎吾がよっ。と手を上げて
僕は軽く会釈をした


「このボードのデザイナーと…」

「俺、色塗る人!」


ハイ、ハイ!って手を挙げて自己主張をしてる
確かにその通りなんだけど、色塗る人って…

その自己紹介にお客さんがプッと吹いて


「え? 俺何か変な事言った!?」


自分が笑われた理由を不安そうに確かめる慎吾が達也さんのツボに入ったのか
背中を向けた肩がプルプルと震えていて、僕も必死に笑いを堪えていた
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