愛慾の鎖ーInvisible chainー【気象系BL】
第5章 一栄一辱
智said
ギシ・・
ギシ・・
一段・・また一段と近付いてくる、階段を踏む音に、僕は投げ出した身体を一瞬身構えた。
あの男だ・・
僕をこんな場所に閉じ込めた、あの男が来たんたんだ。
僕は息をふっと吐き出すと、強ばった顔に笑顔を貼り付けた。
そして、
「帰ってらしたんですね・・」
小首を傾げて見せる。
こんなことしたって、この男には通じやしないのに・・
上向いた顎に指がかかる。
冷たくて・・まるで氷のような指先に触れられると、背中がぞくりと震えて・・
僕はその体温すら感じられない指先から逃れるように、顔を背けた。
「ほう・・ずいぶんと元気が有り余っているようだな。それとも・・何かの余興のつもりか?」
余興だって・・?
随分とご都合主義だな。
いいさ、そう思いたければ思えばいいさ。
でも僕だって・・・・
男の加虐心を煽るように身体を震わせ、肌蹴た襟元を掻き合わせれば、男は苛立ち混じりに僕の肌を光の元へと晒した。
「あっ、やめて・・っ・・」
せめてもの抵抗を口にしながら、僕は男のなすがままに床に身体を押し倒され、胸の先を転がされると、その先の悦楽を知っている僕の身体は、貪欲なまでに更なる刺激を求め始める。
それでいい。
思う存分僕の身体を蹂躙すればいい。
僕は鎖で繋がれた足を少し開き、着物の裾を肌蹴させると、男の視線に止まるように白い内腿を覗かせた。
もっと僕を求めろ・・
そして・・溺れてしまえ・・
「‥どれだけ上手に啼けるか、聞かせて貰おうか」
散々胸の先を弄んでいた冷えた指先が、内腿へと移動してするりと撫で上げる。
「やあっ‥はぁん‥っ‥‥」
いいさ、聞かせてやるさ、いくらでも‥‥
それなのに、触れそうで触れない距離を保つ指先がもどかしくて‥
僕は腕を掴んで、強請るように瞳を揺らした。
「そこだけじゃ‥‥もっと奥も‥っ‥」
もっと深みまで‥‥
僕から抜け出せなくなるほどに、深く‥‥