愛慾の鎖ーInvisible chainー【気象系BL】
第2章 暗送秋波
私は快楽の波間に漂う弛緩した身体を引き寄せると、力を失わない欲望の象徴をその身体に緩やかに打ちつける。
「雅紀‥さん‥っ‥ぼく、まだっ‥‥」
縋るような瞳をした智は、力の入らない手で弱々しく私の胸を押す。
「‥嘘はいけないよ‥‥君の身体はこれぐらいでは足りぬだろう‥」
抗うことのできない智に、私の放った欲で卑猥な水音を立てる結合部をわざと揺らし、その音を聞かせた。
「ああ‥はずかしいっ‥やめてぇ‥‥」
羞恥に頬を染めて小さな両の手で顔を隠すと、幼女のようにかぶりを振った。
なんと愛らしい仕草‥‥
こんなに濡らされて、私の欲望の象徴を咥えこんで離さないというのに‥
「恥ずかしがることはない‥それが君の本当の姿なのだから。私に貫かれ、歓びに打ち震えて‥‥啼き続けておくれ‥。」
私は身体を起こし、再び情欲に染まりはじめた顔を隠している手を取ると、頭を擡げつつある自身の欲情の証を握らせて、共に快楽を塗りこめやる。
すると深い溜息のような吐息に、甘く強請るような声が混じりだす。
「‥きもち‥いい‥‥雅紀さん‥もっと‥‥ほしい‥」
そうだ‥それでいい‥
私を欲しがるのだ‥。
恍惚とした表情を浮かべ、己の昂りを弄び‥‥
蕩けるほどに熱い孔で、私の愛を受けとめ続けるのだ。
快楽に溺れ‥我を失くしていく姿は、どんな媚薬よりも私の欲情を煽っていった。
「いい子だ‥‥それならば、ご褒美をあげねばならないな。」
すると智は彷徨わせていた視線をふわりと私に向けて
「‥うれしい‥‥うれしい‥‥」
その揺らめいていた瞳から幾筋もの涙の零しながら、譫言のように囁く。
私は涙を流し‥揺さぶられ続ける愛しき者を、その精が尽き果てるまで胸の中に抱きしめて離さなかった。
私は君と2人で
果てのない‥世界に‥‥
‥‥‥行きたかったのかも‥しれない。