第12章 伝える勇気
振り払った手は
もう一度私に触れることはなく
「俺がここにおんのが嫌なら…
帰るけど…
お前…顔色も悪いし
ちゃんと飯食うてるか…?」
心配そうに
そう問いかける声に
胸がズキンと痛みを放つ…
「ずるいよ…そういうのは…(笑)
自分から突き放したくせに…」
顔を背けたまま
そう言って小さく笑う私に
お隣さんは
「俺はただ………」
そう言いかけて
途中で言葉を飲み込む……
苦しくて……
痛くて……
頭がパンクしそうになる……
「俺はただ……何?
離れたなら…
優しくなんかしないで……?
私は今も……
顔を見るのも…
声を聞くのも…
苦しくてしかたないのに……
何ですばるは……
そんなに冷静でいられるの……?
私は……
もう…こんなの…耐えられない……」
そうだ………
「耐えられへんかったら……
どうすんの………?」
「ここから引っ越す………」
もっと早くこうすべきだったんだ…
苦しくて辛い現実に
背を向けて………
「ここにいたら……
私はずっとすばるを忘れられない……
側にいられないなら……
忘れなきゃだめなら……
もうここには……
いられない………」
ここからもう逃げ出すんだ………