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ハリー・ポッターと純血の守護者

第8章 【嵐を呼ぶオトコ】


 クリス達も教室を出ようと机の下から出た瞬間、今まで教卓に隠れて何の役にも立たなかったロックハートと目が合ってしまった。クリスの中でいやな予感が走る。

「やあ、君たち。のこりのピクシー妖精たちを籠の中に戻しておいてくれないかね。私は次の授業の準備があるんだ」

 ロックハートは荒れに荒れた教室の中、まるで何事もなかったかのようにサッと前髪をかき分けると、教材を抱えて足早に教室を出て行ってしまった。あまりの責任感のなさに、ハリー、ロン、クリスは開いた口がふさがらなかった。

「こんなのってありかよ!自分でピクシー妖精を放っておいて、後始末を生徒に押し付けるなんて」
「違うわよ、きっと私たちを見込んで実習訓練をさせてくれたのよ」
「これが実習っだって!?僕なんて危うく目玉を引っかかれそうになったんだぞ!」
「どちらにしても、このまま放っておくわけにはいかないね」

 改めて教室を見回して、ハーマイオニー以外の3人は大きくため息をついた。
 しかしこのまま突っ立っていても仕方がない。それから、ハーマイオニーが呪文をかけてピクシー妖精を動けなくすると、それを引っつかんでハリーとロンは鳥かごの中に次々に放り込んでいった。
 クリスは割れたガラスの破片やら、散らかった羊皮紙の切れ端を淡々と集めていた。ピクシー妖精が教室中を飛び回ってくれたお陰で、羊皮紙は部屋中に散らばっている。その中から、クリスは見慣れた文字を見つけて思わず「あ」と一言声を漏らした。
 単純作業に飽き飽きしていたハリーとロンは、すぐさまクリスに近寄ってきた。

「なになに、どうしたの?」
「何か面白いものでも見つかった?」
「面白いかどうかは分からんが、これ、私のテスト回答の一部だ」

 2人に羊皮紙の切れ端を差し出すと、2人は一斉にプッと吹き出した。

「君、もしかして全部こんな回答にしたの?」
「だとしたら、そうとう喧嘩売ってるぜ、これ」
「失敬な、私はただ思ったとおりのことを書いただけだ」
「……ちょっと待って、私にも見せて頂戴」

 ハリーとロンの反応に、ハーマイオニーがいったん手を止めてこちらに近づいてきた。そして羊皮紙を見るなり、彼女の顔が見る見るうちに真っ赤になっていった。羊皮紙にはこうかかれている。
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