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ハリー・ポッターと純血の守護者

第8章 【嵐を呼ぶオトコ】


「よろしい、それでは皆さんがピクシーをどう扱うのか、良く見せてもらいましょう。それっ!」

 言うや否や、ロックハートは鳥かごの入り口を空け、中にいたピクシー妖精を1匹残らず解き放った。その次の瞬間、自由を手に入れたピクシー妖精たちは一気に教室中を駆け巡り、並べてあった空き瓶を次々となぎ倒し、インクつぼを振り回しては教室中をインクまみれにし、本やノートを紙吹雪のように引きちぎり、しまいにはネビルの両耳をつかんで持ち上げると、そのままシャンデリアにぶら下げた。

「だ、誰かたすけて~」
「ネビルッ!!」

 クリスはとっさにネビルを助けようと机の上に上ったが、届かない上に、一斉にピクシー妖精に群がられて、あわやクリスもネビルの二の前となってしまった。

「ほら、みなさんどうしたんですか?捕まえてください、たかがピクシー妖精ですよ!」

 ロックハートは大混乱の教室の中で、一人教壇の上から偉そうに杖を構えていた。生徒たちはもう何がなにやら、ピクシー妖精を捕まえるどころの騒ぎではない。どうにか自分のみを守ろうと机の下に隠れて防戦一方を強いられていた。

「いけませんね、これでは。よろしい、ではこの私が見本をお見せしましょう!ペスキピクシペステルノミ――ピクシー虫よされ!」

 しかし、何の効果もなかった。クリスは宙の上でネビルと2人、ピクシー妖精のいいおもちゃにされながらも必死にもがいていた。ある者はクリスの髪を引っ張ってきたり、又ある者は鼻をつまんできたり、もう一匹は限界までクリスの頬を引っ張ってきた。
 クリスの怒りは既にピクシー妖精に向けられてはいなかった。度を過ぎた怒りはすべての元凶である、ロックハートに向けられていた。

「ネビル!どうにか揺らして下に飛び降りるぞ!」
「ええっ、ぼくそんなこと出来ないよ」
「うるさい、出来る出来ないじゃない!やるんだ!」

 この角度から落下すれば、ロックハートの腹に一発くらいとび蹴りがおみまいできるかもしれない。クリスが全身を大きく前後にゆすると、次第に大きなシャンデリアが僅かに揺れ始めてきた。真下のロックハートは気づかず、未だ役に立たない呪文を繰り返している。子供2人を乗せたシャンデリアはますますゆれを大きくして、もうすぐで下に落下しそうだった。
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