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ハリー・ポッターと純血の守護者

第5章 【青空の旅】


 突然あんなことに巻き込まれたのに、彼女はクリスを責めようとはしない。それどころか心配までしてくれる。そんな友達に恵まれた人間は、いったいこの世界に何人いるんだろう。友情に純血だとか、マグルだとかは関係ないと、クリスは事の時改めて思い知らされた。

「いいな……ハーマイオニーのそういうお節介で心配性なところ、嫌いじゃないな」
「それは褒めてるの?それとも貶してるのかしら?」
「両方って言ったらどうする?」
「こうしてやるわ」

 口角をニヤリと上げ、軽く茶化したようにクリスが言うと、ハーマイオニーも少し照れたようにコツンとクリスのおでこをつついた。


 それから発車まで空き時間は、2人はそれぞれ好きに時間をつぶした。ハーマイオニーは早速トランクから教科書を取り出して予習を始め、クリスももうひと眠りしようと窓枠に頭を持たせかけ目を閉じる。そして浅い眠りの中でクリス、はまた今年も不思議な夢を見た。

 そこはどこまでも広く、そして真っ白な空間だった。クリスが辺りを見回すと、何故かガラス張りのショーウィンドウの中にハリーとロンが閉じ込められていて、2人が何とか出ようともがくさまを大勢の人が見て笑っていた。
 クリスは何とか2人に近づこうとするのだが、その度どこからともなく現れた見物人が邪魔をして、どうしても2人が閉じ込められているショーウィンドウに近づけない。それでも人ごみを掻き分け進もうとすると、見物人が見る見るうちに全員ロックハートに変わり、今度はクリスの周りに群がり始めた。
 ロックハートの渦に飲み込まれないように必死に抵抗したが、如何せん、数が多すぎた。このまま、むせかえるコロンとチャーミング・スマイルに殺されてしまう――そう思っていると、突然頭の中に汽笛が鳴り響き、クリスは現実世界へと帰ってきた。

「……は!?あ、ああ……夢で良かっ――うわっ!!」
「何?どうしたのクリス?!」
「聞きたいのはこっちだ、なんだその本は?」

 ハーマイオニーはクリスが完全に寝入っているのをいい事に、いつのまにかトランクから全てのロックハートの教科書を取り出し、それに囲まれるようにして予習に励んでいたのだ。隣りでこんなことされたら、誰だって悪夢の1つや2つ見てしまうだろう。
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