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ハリー・ポッターと純血の守護者

第4章 【仕組まれた出会い】


 ウィーズリー夫人や店主が止めるのも聞かず、2人の大人は本という本を雪崩落としながら取っ組み合いを続けている。

「やっちゃえ、パパ!!」
「アーサーダメよ、こんなところで、止めてちょうだい!誰か!……ああっ――ハグリッド!」
「おいっ!やめねえか、いい大人がこんな所で喧嘩なんて!!」

 ついにウィーズリー夫人の願いが届いたのか、ハグリッドの乱入により両者は力ずくで引き剥がされた。しかし時既に遅く、ウィーズリー氏の目の上には本で殴られた痕があり、ルシウスも口の端から血を流していた。店の中も、まるで嵐が過ぎ去った後のように本という本が散乱している。
 ロックハートも彼のファンも一目散に店を逃げ出した後の店内で、唯一無事だった天井の横断幕がウィーズリー氏とルシウスの頭上で空しく輝いていた。

「憶えていろ……近いうち必ず後悔する事になるぞ、アーサー」
「貴様こそ忘れるな。私の家族を侮辱するようなら、今度こそ容赦しないぞ」
「――フンッ!」

 ルシウスは鼻であしらうと、力ずくでハグリッドの腕を振り払い、ロックハートのサイン入りの本を無理矢理ジニーの手に押し返した。

「不甲斐ない父親に代わり、かの有名なハリー・ポッターに恵んで貰った本だ、精々大切にするといい。ドラコ、クリス、行くぞ!」

 今のルシウスに逆らう事など出来はしない。クリスは何度もハリー達の方を振り返りながら、早足で歩くルシウスに置いて行かれないようにするのが精一杯だった。

(まさかこれほど上手く行くとはな……)

 店から出る間際、ルシウスは口端の血を拭うふりをしながら、思わず小さくほくそえんだ。これで手はずは整った、あとはあの子ネズミが上手く罠に引っかかってくれればいい。そうすれば――邪悪に口元を歪ませながら、ルシウスは指についた赤い血を無意識の内に舐め取っていた。
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