第24章 【ハーマイオニーの危機】
ハリーが言うにはこうだった。日記にはトム・リドルの記憶が封印されていて、ハリーが文字を書くたび、日記から文字が浮かび上がり、返事をしてくれたというのだ。そして日記曰く、50年前秘密の部屋が開かれ、一人の女性徒が襲われ殺されたというのだ。
トム・リドルはその人物を追放したが、当時の校長はホグワーツでその様な事件が起こったこと自体恥ずべきことだとし、トム・リドルに『ホグワーツ特別功労賞』を授与させるかわりに、この事を口封じしたと言う。然しリドルは事件は再び起こることを予測し、誰かこの日記を見るにふさわしい人物が現れるのを待っていたと言うのだ。そしてハリーがこの本の秘密に気づき、トム・リドルが犯人を――ハグリッドを――捕まえた夜の出来事を追体験したと言う。
「ハグリッドが真の後継者、か……」
「考えられなくもないぜ、あのハグリッドだ。このホグワーツに怪物が潜んでいるとしたら、真っ先に拝みに行こうと企むだろうさ」
「でも、もしかしたら勘違いかも知れないわよ。皆を襲ったのは別の怪物かも――」
「ハーマイオニー、去年のノーバートの事もう忘れたの?それにフラッフィーの事も」
ハーマイオニーは無理にハグリッドの無罪を証言したが、本当は4人ともハグリッドが怪物を解き放った張本人だと思っていた。しかし、誰も殺す気はなかった。ちょっと様子を見て、校内を一回り散歩させたらそれで満足すると思っていたんだと、4人は信じていた。だってあのハグリッドが、人を殺せるはずなんてない。その意見だけは4人一緒だった。
「それにしても、そのリドルってやつムカつくよな。誰が密告しろだなんて頼んだんだよ」
「ロン!誰かが殺されたのよ?」
「それに犯人を差し出さなきゃ、ホグワーツは閉鎖されるところだったんだ。……僕、リドルの気持ちも分かる気がする」
確かにハリーの言う通り、ホグワーツを閉鎖されたら、クリスは屋敷に戻って、大人しくドラコとの結婚の日を待つことになるのかもしれない。そう思ったらクリスだって密告したい気持ちになった。