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ハリー・ポッターと純血の守護者

第20章 【パーセルマウス】


 何が起きたのか自分でもわからない。ただ自分自身が、純血主義になってしまったような気がして、マグル生まれを殺そうと思っていた。クリスは急いで左腕のローブをめくった。するといつもそこにある痣が、明らかに濃くなっていることに気が付いた。一体いつから濃くなっていたんだろう。この痣が濃くなっていると言う事は、どこかで闇の力が強くなっていると言う証拠だ。
 去年はクィレルが『例のあの人』の宿主となって力を蓄えつつあった。では今年はドラコの言う通り、自分が例の継承者なんだろうか。自分でも記憶のない内に次々と純血主義者以外を襲っているのだろうか?クリスは訳が分からなくなって頭を抱えた。
 その時、部屋の扉が勢いよく開いたかと思うと、ハーマイオニーが飛び込んできた。クリスはさっとローブを元に戻した。

「クリス、こんな所にいたの!?大変よ、次の犠牲者が出たわ!!それも一気に2人も」
「なん……だと……?」
「それだけじゃないの、その犠牲者って言うのが、ジャスティン・フィンチ・フレッチリーと首なしニックなの。それも、ハリーの目の前で!!」
「そんな……そんなわけない!!だって私はついさっき丁度2人に会ったばかりだ!!」
「でも事実なの、今ロンが医務室に行ってジャスティンの様子を見に行ってるわ」

 クリスは言葉なく視線を落とした。喉元に石が詰まっているみたいに、次の言葉が出てこない。よくよく考えてみると、初めにミセス・ノリスが襲われた時も、直前にミセス・ノリスと会っている。そして次の犠牲者のコリンにも夜中に会っている。そして今回の犠牲者のジャスティンと首なしニックにも会っている。そしてどれも、クリスが眠っている間に事件が起こっている。そう、眠っている間に――

「ハーマイオニー、私は毎朝、眠りながら大広間までたどり着いているよな?」
「そうだけど……それがどうかしたの?」
「真の後継者はハリーじゃない、きっと――」

 そこまで言って、クリスは口をつぐんだ。認めたくない、認めたくないが、真の後継者は自分かもしれない。猛吹雪が窓をがたがたと揺らす音が辺りに響く。クリスは次の言葉を口に出さないように、真っ赤な唇を力いっぱいかみしめた。
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