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ハリー・ポッターと純血の守護者

第17章 【Memories】


「――それで、どうして毎回僕が呼び出されなくっちゃならないんだい?」

 クリスの唯一の幼馴染兼友人のドラコ・マルフォイが、ふかふかのソファーに座りながら呆れた調子で言った。
 マグルの町に抜け出したことで、1ヶ月の外出禁止令が出されたが、クリスは逆にハンガーストライキを起こし部屋から一歩も出なくなった。屋敷僕のチャンドラーはクリスが少しでも食べてくれる様努力したが、手付かずの料理を作っては捨て、作っては捨て、ほぼ水と雀がつついたようなパン一口だけの日々が、かれこれ1週間と過ぎていった。
 こういう時、父親はどうするかと言うと、どうもせずただチャンドラーに全てを任せ、仕事だと言っては家に寄り付かなくなってしまうのだ。それが余計にクリスの怒りを買っていた。

 そこで登場するのが、このドラコ・マルフォイだ。魔法界でクリスが唯一心を許した少年で、篭城したクリスの部屋に入れるただ1人の人間だ。クリスが引き篭もる度、毎回呼ばれてはクリスを部屋から出す役目を負わされている。

「君もいいかげん学んだらどうなんだい?煙突飛行を使ってマグルの町へ遊びに行くなんて。僕なんてそんなのガリオン金貨を積まれたってお断りだね」
「………………」

 しかし、布団を頭からかぶったままのクリスからは、何の返答もない。ドラコはふうっとため息を吐いた。

「いったいマグルなんかのどこが良いんだい?遊び相手なら魔法界にもいっぱいいるじゃないか」
「だって……みんな、私の家のこと聞いたら……変な目で見るんだもん」
「そんなの穢れた血だけだ。僕は違うぞ、僕はちゃんとクリスだけを見てる」
「……だから、ドラコだけは好き」

 クリスが布団の中からぼそぼそ言葉をつぐむと、ドラコは満更でもなさそうに笑った。何だかんだ言いながら、ドラコは癇癪を起こしたクリスを宥める役を嫌がってはいない。むしろ満足していた。

「そうか、君がベッドから出て来ないならしょうがない。せっかく君だけに見せようと思って、いい物を持ってきたんだけどな」
「……いいもの?」

 ベッドの中のクリスが食らい付いて来た。長年の付き合いからこれならいけると思い、ドラコはさらに追い討ちをかけてきた。
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