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ハリー・ポッターと純血の守護者

第14章 【別れ道】


 それから暫らくの間、クリス達はどうやって先生方からサインをもらうのか必死になって話し合った。
 初めはハリーがゴーストのビンズ先生に頼むのが良いと言っていた。確かにビンズ先生なら生徒の顔と名前も碌に覚えてないくらいだ、誰が頼んでも怪しまれることは無い。だが魔法史と『最も強力な薬』の本では共通点がなさ過ぎるという理由で、ハーマイオニーから却下された。
 クリスはどうせ規則を破るのだから、誰かがマダム・ピンスの気を引いている間に盗んでしまえと言ったが、万が一ばれたら一気に50点は減点されると、これまたハーマイオニーから却下を食らってしまった。
 最後にロンが、それなら薬草学のスプラウト先生に頼むのが良いと言った。それなら魔法薬の本とも多少の関連性があるし、スプラウト先生なら生徒を悪く疑ったりしないはずだ。だがそれも「逆に深いところまで突っ込まれたらどうするの?」というハーマイオニーの意見から却下された。ちなみに4人の偏見からスネイプに頼むのも絶対にありえないという結果になった。
 残る先生方も「共通点が薄い」とか「先生が厳しい」とかの理由で、なかなか良い案が見つからないまま数日が過ぎていった。

 そんなある日のこと、いつものように4人そろってグリフィンドール席で昼食をとっていたら、背後からクラップとゴイルを従えたドラコが姿を現した。

「なんだいクリス、まだそんなウスノロ達と付き合っていたのかい?」
「クラップとゴイルを連れたお前に言われたくないな」

 折角の昼食時、余計な邪魔をされたくないクリスはまるで猫でも追い払うかのようにシッシッと手をやった。それで無くとも明日はクィディッチのグリフィンドール対スリザリン戦なのだ。ドラコを睨むハリーの目からは火花が散っている。

「おやおや、僕にそんな口を利いても良いのかい?折角いい物を持ってきてやったのに」
「いい物?」

 振り返ると、やけに自信たっぷりに微笑むドラコは、白いインク瓶をクリスの手に乗せた。

「こっ、これはまさか!!?」
「まあ、効果の程は使ってみてからのお楽しみさ」

 ドラコの言葉を最後まで聞かず、クリスは早速ハンカチにインクを浸し、ロックハートのサインが施されている召喚の杖を拭ってみた。
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