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ハリー・ポッターと純血の守護者

第13章 【トイレのマートルさん】


 午後の授業が終わると、クリスは迎えに来てくれたハリー、ロン、ハーマイオニーと一緒に医務室を出た。クリスのことを慮ってか、歩くペースは少しゆっくりめだ。それでなくともこの時間帯は教室にいた生徒が一斉に談話室に戻るので廊下が大混雑するのだ。人ごみに流されないよう、4人は廊下の端で少し人ごみが収まるのを待っていた。

「それにしてもさ、『秘密の部屋』って本当にあると思う?」

 最初に疑問を投げかけたのはロンだった。4人はその場でちょっと考えてみた。ビンズ先生は否定していたけれど、あの壁の血文字と、石になったミセス・ノリス。誰かが伝説を利用しただけにしては凝りすぎている。

「これは私の考えだけれど……」

 人ごみが去ったのを見計らってから、ハーマイオニーが答えた。

「ダンブルドア先生でさえミセス・ノリスを治してやれなかったってことは、もしかしたら、猫を襲ったのは人じゃないのかも」

 ゆっくり廊下を歩きながら、ハーマイオニーの言葉を頭の中で繰り返した。確かに、ハーマイオニーの目の付け所は鋭いと思う。このホグワーツ中で、ダンブルドアより優れた魔法使いなどいるわけがない。とすると、伝説どおり『秘密の部屋』に封印された怪物がミセス・ノリスを襲ったと考えるのが妥当だ。そして“真の継承者”と呼ばれる人間が、あのメッセージを残した。だとすると、継承者は何のためにあのメッセージを残したのだろう。
 考え込んでいるうちに、4人はいつの間にか3階の廊下に出ていた。現場はあの時と同じ、ただクリスが反対側の廊下にいないだけで、ゆれる松明の炎がチラチラと壁の血文字を照らしている。
 それと、いつのまにか壁を背に1脚のイスがぽつんと置かれていた。

「あそこ、いつもフィルチが見張ってるところだ」

 4人は顔を見合わせた。今はフィルチどころか、生徒の1人もいやしない。4人は無言で肯くと、バッと現場に走り出し、何か手がかりはないかと探し始めた。ここに来るのは例の夜以来だ。いつもはフィルチや詮索好きな生徒達がうろうろしていて近づけなかったが、今だけは思う存分調べることができる。クリスは誰か近づいて気やしないかと耳を澄ませながらミセス・ノリスがぶら下がっていたところを丹念に調べ始めた。
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