第1章 甘い毒/rtrt
「…っはっくしょんっ!!!」
大きなくしゃみの後、鼻をズズッとすする。
アレルギー持ちのレトさんは外にも家にも季節にも反応して何かと辛そうにしている。
「大丈夫?」
「あーダメ、くしゃみ止まらへん。」
と、また大きなくしゃみをして、涙目で助けを求めるようにこちらを見てくる。
できるものなら助けてあげたいが、人に移して治るものではないので、少し気の毒になる。
ティッシュを渡すと、ありがとう、と受け取ってくれる。
「何に反応してるんやろう…花粉かなぁ。」
鼻をかみながら、思い付く原因を挙げているが、その中に入るなぜか私の名前。
「ちょっと、人をバイ菌扱いしないでよー!」
「ふふ、だって、つばさちゃんと会ってから、こんなひどくなったんやもん。」
冗談ぽく言うと、急にレトさんの顔が近付く。
「責任取ってや。」
そのまま唇に柔らかい感触。
触れるだけのふわっとしたキス。
急な展開に驚いて、思わず体がのけ反る。
「えっ、ちょっ…なに…!?」
口を手で押さえ、レトさんを見ると意地悪そうな顔で笑っている。
「毒をもって毒を制すって言うやろ?」
「ど、どういうこと…」
熱を発して赤くなった私の頰に手を添えてくる。
「つばさちゃんのその甘い毒、
俺にちょーだい?」
口を押さえていた手を退けられ、頰に触れていた手が顎に移動する。
上を向かされ、再び触れる唇。
深くなるキスに体中、痺れてくる。
レトさんのキスは甘い甘い毒。