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晴のち雨のちキス【実l況l者/短編集】

第5章 一線先の本音/uszw


「うっしーどうせキスしたことないんでしょ。」

「あ?」

なんでこんな話になったんだか

いつものように雑談していたはずが
キスしたことあるかないか、みたいな話題になって

そしたらうっしーが、つばさとキスする奴なんかこの世にいねえだろ、なんて言うから
人のこと散々言う割に、自分はどうなのって思って

「てかさ、うっしーのキスじゃ全っ然なーんにも感じなさそうだし。」

ゲームばっかやってる奴が、キスなんて上手いわけないじゃん、と笑う

するとうっしーはピクッと片眉を上げると、無表情で見下ろしてくる

やばい、怒った…?
さすがに言い過ぎたかな
謝ろうと思い、うっしーの顔色をうかがうと、急に顔がぐっと迫ってくる

「試してみる?」

「はぁ…?
ん…んっ!」

そう呟いたうっしーの唇は、瞬く間に私の唇を奪う
覆うように重ねると、吸い付くように動く

背中がゾクっとする

逃げようと必死に顔を背けてみるが、うっしーはそれを許さない
後頭部をしっかりと掴み、顔は固定されたまま

そうする内に、うっしーの舌が私の舌を求めて口をこじ開けようとしてくる

唇にんっと力を入れて抵抗してみると、そこでようやく重なった唇が離れた

「口、開けて。」

それだけ言うと、顎を掴まれ上を向かされる
その反動で口が開く

うっしーはその瞬間を逃さずに、舌を入れてくる
舐め取られ、弄ばれ、されるがままに侵されて

苦しさと怖さと、よくわからない感情で目が涙でいっぱいになる

ようやく唇が離れると、息苦しさから開放され思い切り息を吐く

「…うっしーのバカ…。」

溜まっていた涙が溢れ出し、目の前が滲む
するとふわっと優しく包み込まれる体

「ごめん…ちょっと抑えられなかった…。」

抱きしめられた温もりが心地良くて、思わず顔を埋める
ひどくされたのに、なぜだか安心する

「てかお前が煽るからだろ。」

「…なにそれ、逆ギレだし。」

ははっと笑うと、すごく優しい表情をするうっしー

「これでわかった?」

「…うん。」

「ごめんなさいは?」

「…ゴメン、ナサイ…。」

「ふっ、お前みたいなヘタクソ、俺くらいしか相手できねえわ。」

ガシガシと髪を撫でる大きな手

ムカツク…
何よりも喜んでしまった自分に

悔しいから、絶対言ってあげない
またキスしてほしいとか
絶対言わないからね
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