rain of teardrop【黒バス/ジャバ】
第20章 in the maze
「っ……」
「どうしたよ……んー?得意だよな?……名無し――」
「、……ッ」
「おまえもいい加減脱がして欲しいだろうが……どうなってんだかなァ?このナカは」
「!ひ……ぁ…」
「チュ――…、ハァ……じれってえだろ?ほーら……名無し」
自分の身体を支えていた、両肘と両膝に震えが生じる。
脱力すれば完全にシルバーの黒い体躯にもたれこんでしまうがゆえに、名無しは懸命に耐えた。
腹上に一寸、顔をうずめるのとはきっとわけが違う。
今もたれこんでしまえば完全に身体をロックされて、絶対逃げられなくなると思った。
勿論、それもまた今更だったのだけれど――。
「名無し」
「…ッ……は、…む、ン――」
「!……フッ」
心底自分自身の忙しなさに呆れたものだ。
拒んで、受け入れて、恥じらって、積極性を見せる。
この繰り返しばかりにほとほと疲れていたのは、他ならぬ名無し自身だった。
散々欲しがって、とうとう懇願までして既に落ちているというのに、開いていた足の付け根に口付けられて声を上げる。
目の前にある悲願にわざと目を背けようとして、見透かされて屈服させられる。
だから結局、名無しは駆け引きひとつできず、シルバーの言葉に従っていた。
逃げられなくなるから何だと言うのだろう……既に自分は、彼に首輪を付けられているというのに――。