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いちご☆恋模様 PART2

第12章 嵐の文化祭 その5


「ああ・・・もうあの時はあいつ、俺以外にもそういうのいたみたいだし・・・あっさりと納得した」
「へ、へぇ~・・・」

私にはもう『へぇ~』としか言えない。そんな関係はドラマとか漫画とか、そういう作り物の中だけだと思ってた。


「そっからはたまに顔を見かけたぐらいで、会話もしてない・・・だから今日いきなり現れて本当に俺も驚いたんだ」
「・・・」

話が今日のことになって、また呼吸が苦しくなってくる。だって・・・だって・・・本当に息が止まってしまうかと思った。

「・・・抱きつかれたのは、俺もホントに油断してた。無理にでも引き剥がせばよかった、って今は思うんだけどな・・・やっぱあいつも女だし、手荒なことできねえから・・・」

そう言って、宗介さんはとても辛そうな顔になった。
・・・私だってわかる。だって、宗介さん優しいもん・・・誰よりも。そんなことできないって、今ならちゃんとわかる。


「・・・だけどそれでヒカリに誤解させて、傷付けた・・・すまない」

宗介さんの瞳がまっすぐに私を見つめてくる。私も宗介さんの瞳をしっかりと見つめ返した。

「でもこれだけは信じてほしい」
「・・・」
「俺が今大事に思ってるのも・・・・・・好きなのも・・・ヒカリだけだから・・・」

『好き』、地方大会の日以来初めて、宗介さんがそう言ってくれた。あの時と同じぐらい・・・ううん、あの時よりも真剣な声で。宗介さんのエメラルドグリーンの瞳は、まるで泣き出してしまう前のように大きく揺れている。



またひとつ、小さく深呼吸した。宗介さんはちゃんと話をしてくれた。今度は私がきちんと自分の気持ちを伝えないと。

「あの・・・私も話すので・・・聞いてもらえますか?うまく話せるか、わからないんですけど・・・」
「・・・わかった」

私がそう言うと、宗介さんは少しホッとしたような顔になって頷いてくれた。


「私・・・ショックでした、とっても・・・宗介さんとあの人がキス、しようとしてて・・・」
「・・・」
「宗介さんに浮気されちゃったのかな、とか・・・そもそも、あの人が本命で、私が浮気だったのかな、とか・・・」
「っ・・・」

宗介さんは何か言いたそうな顔になったけど、そのまま黙って私の話を聞いてくれた。
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