第8章 嵐の文化祭 その1
「っは・・・んん・・・・・・っ・・・んっ・・・・・・」
一度唇が離れて、少し間を置いてまた次のキス。きっとまだキスに慣れてない私に宗介さんが合わせてくれているんだと思う。唇が離れた瞬間に慌てて呼吸をして次のキスを待つ。だけど、段々と離れている瞬間がもどかしくなる。苦しくってもいい、ずっとしていてほしいと思う。
何回か触れるだけのキスを繰り返して、最後に少しだけ長いキスをして、宗介さんの唇が離れていった。
「ん・・・・・・」
「・・・・・・はっ・・・お前、もうちょい身長伸ばせ。いつも腰が痛くて仕方ねえ」
せっかくキスの余韻に浸っていたというのに、宗介さんは意地悪そうな顔をして、とても失礼なことを言い出した。
「そ、そんなのっ!私だって、いつも首痛くって大変なんですからね!それに・・・この前測ったら伸びてたんですよ!」
「へえ、何センチだ?」
ムッとして言い返すと、宗介さんがニヤニヤしながら聞いてくる。
「・・・1ミリです」
「ぶはっ!・・・そうか、よかったな・・・ははっ」
「っん!・・・も、もう・・・」
・・・ああ、やっぱり笑われると思った。とっても腹が立つけれど、宗介さんが笑いながら頭を撫でてくれて、私は宗介さんのことを許してしまう。いつもそうだ。でも仕方ない。この大きくて優しい手が大好きなんだから。
「・・・そんじゃ、まあ俺、戻るわ」
「あ、はい!時間作ってくれて、ありがとうございました」
名残惜しいけれど、間もなく文化祭も始まるし、宗介さんも戻らないといけない時間だ。
「おう・・・お前、後でオムライス注文しろよ。お前に特別にでっかいの作ってやっから」
「は、はい!」
宗介さんのオムライス。すごく楽しみだ。何個でも食べられそうな気がする。
「・・・・・・あと・・・俺が休憩に入るまで適当に時間潰しとけ・・・その・・・一緒に回るだろ」
さっきはノリノリで執事をやったり、私に意地悪なことを言ったりしていたくせに、今の宗介さんはなんだかとっても照れくさそう。だけど、そういうところも・・・ううん、そういうところが好き。大好き。
「はいっ!」
恥ずかしさはもう消えていて、私は宗介さんの顔を見て、笑ってそう答えた。