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いちご☆恋模様 PART2

第7章 『会いたい』


家までの道のりも、なぜか宗介さんはほとんど話さずに不機嫌な感じだった。さっき、何か私が怒らせるようなことをしてしまったんだろうか。考えてみても全然わからない。



「・・・それじゃ、また来週な」
「あ、はい。今日は忙しいのに、ありがとうございました」

家の前まで着いて、私は今日のお礼を言った。すると、宗介さんはさっさと行ってしまおうとする。

「・・・あ!あのっ!」
「どうした?」
「えっと・・・その・・・今日は・・・キス、してくれないんですか?」

いつもはバイバイする前にキスしてくれるのに、今日はそれがない。恥ずかしいけれど、思い切って自分から言ってみる。

「・・・いや・・・今日はやめとく」
「・・・宗介さん、なにか怒ってますか?」
「いや・・・怒ってるわけじゃない。ただ、今は・・・色々まずい」

・・・やっぱり宗介さん、少し変だ。色々まずい、って一体何がまずいんだろう。
こんな時に背が高かったら、と思う。そうしたら、背伸びして宗介さんに自分からキスできるのに。でも私じゃ、どう頑張って背伸びしても、宗介さんには届かない。

「・・・あ!宗介さん、ちょっとこっち・・・こっち来て下さい」
「は?なんだよ」
「いいから!ここに来て下さい」

でも私はすごくいいことを思いついた。手招きして、宗介さんを家の前の段差のところへ呼ぶ。渋々だけど、宗介さんは私の方へ来てくれた。
私は素早く段差を上る。これで普段よりもずっと目線が高くなった。

「・・・おやすみなさい、宗介さん」
「・・・っ!」

それでもまだ宗介さんには届かなくて、うんと背伸びすると私は宗介さんにキスをした。宗介さんのほっぺにしたことは今まで何回かあったけど、唇に自分からしたのは初めてだった。

「来週、楽しみにしてます!それじゃ!」
「・・・・・・」

早口でそう言うと、そのまま宗介さんを残して私は家の中に駆け込んだ。
恥ずかしかったけれど、自分から宗介さんにキスできたことが嬉しくてドタドタと階段を上がっていたら、もう帰って来ていたお母さんに注意されてしまった。

ベッドに身を投げ出して、今日の宗介さんとのことを思い出す。思わず一人で笑い出してしまいそうなぐらい幸せだった。




・・・この時の私は宗介さんの気持ちなんて全然わかってなかった。そのことを私は後になって嫌と言うほど思い知ることになる。
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