第3章 Happy Birthday!
「おー宗介、お帰り。そろそろ始めんぞ」
「ケーキ、買ってきましたよ」
「宗介先輩、ろうそくフーッ!てやりますよ!フーッて!早く早く!」
「・・・いや、それは勘弁してくれ」
寮に戻って部屋に入ると、愛と百もそこにいた。部屋の真ん中にテーブルが出されてて、その上にケーキやら飲み物やらが準備されていた。俺も誘われるままに腰を下ろした。
「ところで、宗介先輩!ヒカリちゃんからはどんなお祝いしてもらったんすか?!」
しばらく適当に飲んだり食ったりしてると、百が身を乗り出すようにして聞いてきた。
「・・・いや、あいつからは別に何も・・・」
「え?!さっきまでヒカリちゃんと会ってたんすよね?」
そのまま正直に答えると、百が驚いたような声を出す。
「ああ、そうだけど・・・なあ、あいつ、今日誕生日だってこと教えなかったら、なんかすげー怒ってどっか行っちまったんだけど・・・なんでだ?」
怒ったのは誕生日を教えなかったからだが、その後どっかに行っちまったのは『いちご大福』と言ってしまったからだ。だが、さすがにそれは伏せておく。
三人は俺をぽかんとした顔で見つめると、その後顔を見合わせて一斉に、はぁーとでかいため息をついた。
・・・なんだ。一体なんだって言うんだ。
「宗介・・・そりゃ、ヒカリも怒るだろうよ」
「僕・・・宗介先輩がそんなに女の子の気持ちがわからない人だとは思いませんでした」
・・・ひどい言われようだな、おい。
「・・・普通、怒るのか?」
「そうっすよ!怒りますよ!てか、宗介先輩おかしいっすよ!だって、誕生日なんて可愛い彼女に一番にお祝いしてもらいたいもんじゃないっすか?・・・あーあ、いいなー!俺も可愛い彼女、ほしー!!」
「・・・いや、あんまよくわかんねえ」
それは俺の正直な気持ちだった。誕生日だからって、特別にヒカリに何かしてほしいわけじゃない。今日だって、あいつに会えて、あいつがうまそうに食ってる顔とか笑ってる顔とか見れただけで十分だった。
「あのよ、ヒカリもお前の誕生日、ちゃんと祝いたかったんじゃねえの?それなのに、お前がそういう素っ気ない態度だったら・・・まあ、怒るわな」
多分、俺がよくわかってないことが伝わったんだろう。凛が俺にもわかるように言ってくれた。