第22章 すてっぷあっぷ? その2
「・・・寝てる間に俺が帰っちまったら、お前がさみしい思いすると思ったからな」
ずっと私の手の間にあった宗介さんの手がするりと引き抜かれた。そして、その手がそのまま私の頭を撫でてくれる。何度も何度も。
「・・・っ・・・ふ・・・ひっく・・・」
「お、おい。どうした?ヒカリ」
気付いたら、ボロボロと涙が溢れてきていた。私が寝る前に話したこと、宗介さん、ちゃんと聞いててくれた。さみしいって気持ち、受け止めてくれた。ずっと同じ格好でただ座っているだけなんてつらいはずなのに、それでも私の側にいてくれた。宗介さんの優しさに涙が止まらない。
「ヒカリ、おい、大丈夫か?」
宗介さんは突然泣き出した私を心配して、身体ごと私の方を向いてくれた。
「っ・・・宗介さん・・・!」
ぱっとベッドから起き上がると、私は宗介さんに抱きついた。
「っ!・・・ヒカリ?」
「っ・・・っく・・・宗介さぁん・・・」
宗介さんの首に抱きついて、その肩に顔を埋める。宗介さんの体温とか香りとか、その全部が涙をさらに溢れさせる。
「・・・どうした?怖い夢でもみたのか?」
宗介さんは始め、驚いていたみたいだったけど、すぐにいつもの調子に戻って、私を受け止めてくれた。片方の腕が私を抱きしめてくれて、もう片方の手が私の頭を再び撫でてくれる。
「ちがう・・・ひっく・・・ちがうの・・・」
「そうか。ならどうした?」
宗介さんの声が優しく鼓膜を震わせる。
・・・泣いてばかりじゃダメだ。ちゃんと私の気持ち、宗介さんに伝えないと。
私が身体を動かそうとすると、宗介さんは腕の力を少し緩めてくれた。多分涙でぐちゃぐちゃで、情けない顔になってるんだろうなって思ったけど、この気持ちだけはちゃんと宗介さんの目を見て伝えたかった。
「側にいてくれてありがとう・・・宗介さん・・・好き・・・大好き・・・・・・」
こんなことしたら宗介さんに風邪うつしちゃかも、って気付く前にもう身体が勝手に動いてしまってた。