第4章 優菜視点
はぁ…
朝から何回ついたかわからない
ため息をついてしまう
トイレの個室で火傷用の軟膏を
足に塗りながら
人の理不尽さに心が凍る気がするなって
思った
「私は紅茶って言ったでしょ??」
「熱っ!!」
私は
いま働いてる
葛城ホールディングスの営業部で
女性社員に
コーヒーを入れてもらいたいと言われ
ホットコーヒーを
持っていくと違うと言われ
コーヒーを手で払いのけられ
手から離れてしまい
足にかかり地面に落として
コーヒーまみれにしてしまった
「あなた
ほんとーに仕事出来ないわねー
紅茶はもういいから
それ片付けといて!!」
いつもコーヒー飲みたいなんか
言われないのに言われたから
なんか理由があるのかなって
自分がされてるのに冷静な分析している
私に驚く
この扱いは半年くらい
続いてるから心が慣れてしまったのかな?
うちの葛城ホールディングスの
支店は赤字続きでまもなく倒産するだろう
と言われてるから
倒産するまで耐えようと思っていたら
この支店を黒字回復に
するため
葛城慶一郎社長の息子さんが
代表として就任してくる事になったらしい
この地獄のような日々が
終わるのが目に見えなくなり
私の気持ちに暗い影を落とした
そして冒頭に戻る
トイレの用具入れをあけ
モップを持ち
営業部に入って行くと
皆立っていた
「愛川優菜くんはいるか?」
低いがよく通る声で
名前を呼ばれて返事をしようとしたら
コーヒーを持ってくるように言った
女性社員に睨まれていて
返事をすることができなかった