第2章 見つけないで○○
「おはよう!玲香」
私は誰かから背中を勢いよく叩かれて、一瞬前によろめく。
後ろを振り向くと可愛らしいボブに大きな目をした小動物のような少女がいた。郷田瑛美(ごうだ えみ)だ。
「おはよう、瑛美」
満面の笑みで朝から癒される。心なしか女子高生特有のいい匂いがして私はくんくんと鼻を動かした。
ちなみに私は家に転がり放題のアルコールの匂いが染み付かないようにと香水をふっている。私の大好きなフローラルの香りだ。
「あ!またピアス開けてる!」
風紀委員でもある瑛美はそういうところがすごく目ざとい。
私は耳たぶをさすり、ピアスの穴を確認する。
「あー…昨日開け直したもんなあ、先生には黙っといて」
私の髪は腰までかかるロングだから耳に髪をかけなければピアスの穴は分からない。それで今までになんども校門に立っている生徒指導の鬼と呼ばれる日比谷(ひびや)の目を潜り抜けてきた。