第3章 暴かれた○○
「お説教にしては長かったね、お疲れ」
小さく瑛美が笑う。
私はありがと、とだけ言って右に曲がった。
学院から出て2つ目の角を右に曲がるとすぐにファミレスが見えた。
ここを利用する学院の生徒は私たちくらいで気ままに喋れる場所としてもお気に入りだ。
席に案内されて座った私たちはとりあえず各々、注文すした。
第一声は摩耶子だった。
「私ね、実はね、綾瀬せんせと知り合いなんだよ〜」
「ほんと?!瑛美のクラスじゃ先生大人気でさ、授業中とかみんな黒板より先生見てた」
瑛美は興奮気味でそういうとドリンクバーの紅茶を飲んだ。
一方の摩耶子はメロンソーダ、コーラ、オレンジジュースのグラスを自分の前に並べてストローをくるくると回しながら話していた。
「塾のせんせでね、その時からせんせモテてたなあ」
「私はああいう顔好きだけど、女癖悪そうでいや」
ふっと頭に先生に抱かれたことを思い出して吐き気がした。私はその吐き気をジンジャーエールで搔き消す。
「瑛美もそれは思うかな、目つきがやらしいというか」
「瑛美ぽんたまに面白いこと言うよねえ」
摩耶子が面白そうに笑う。私も摩耶子には同感だ。
「女子の扱い方も慣れてるし、あれ、夜すごいよ」
「瑛美ぽん最高」
摩耶子は大笑いをしながらメロンソーダを飲む。グラスの中のメロンソーダが吐き出された息でぼこっと音を立てて泡を作った。
私は笑えなかった。また思い出しそうになって私はじっと机を見つめる。
「ご注文のカルボナーラです」
「はぁい」
摩耶子の頼んだ品物がきて、先生についての話は終わった。
ほっと息をつく暇もなく私の料理と瑛美の料理もきて、話の話題は変わった。